なんやかや言っても、探偵経験はアルバイトを含めると３年になってしまった。
と言っても、名古屋での探偵経験が半年というのは、寂しいところだけれど。

ぼくの経験、と言っても、まだ３か所でしかないのだけれど、大阪と名古屋、岐阜では、探偵の仕事でもそれぞれの特徴が出ることがわかった。

大阪の探偵の場合、それはもう行動範囲が広い。
友人の母親の探偵事務所は大阪市内にあった。
そのためなのか、相談相手が大阪市内だったり、調査対象者が大阪市内に勤めていたり。
比較的、神戸は京都も近いため、そちらへの探偵調査もまれに入ることもあった。

そして、有り難いことに、車での尾行調査が少なかったので、ほとんどが徒歩か交通機関での尾行だった。
大学へ行ってから車の免許をとったため、当然、自分で乗る車なんてない。
実家に帰っても、親が迎えに来てくれるし、自分で運転してどこかへ行くことなんかもない。

大阪に住んでいると、市内へ行くには、車だと渋滞にはまって余計に時間がかかったりするため、地下鉄や電車での移動が主になるし、高い駐車場代を考えると、人数のいる場合はタクシーを使ったほうが便利だったりもするし。

免許をとって、さほど運転経験もないのに、車での尾行をするのはあまりにも無謀だ。
それをわかってくれていて、ぼくの探偵手伝い調査は、徒歩か電車、バスばかり。

ちなみに、友人の母親は男並みに運転がうまい。
一度、探偵の調査に同乗させてもらったときは、腰が抜けそうなくらい驚く場面もありましたが、その運転技術はかなりのもの。
きっと、ぼくにはまだまだ出来そうにない運転。
いつか、してみたいような運転の仕方。

でも、ぼくは自慢の足で徒歩の尾行を得意とした。
どこにでもいる普通の学生だから、特に気にされることもないので、尾行されている人も全く気にしないのだから。
陸上を、どっぷりではないけれど、かじっていて良かった、と初めて思ったものだ。

で、大阪で探偵として尾行。
特に、市内での電車の移動だと、まず気づかれることもないので、けっこう一人で行けてしまったりする。
あまりの人混みで、誰とすれ違ったなんて、いちいち覚えていないし、振り向く人って案外少ないものだし。
地下鉄から地上に出たときは、ある程度の距離を開けていても、信号さえ気をつけていれば、徒歩だと見失うこともない。
ただ、ビルに入ってしまうと、何階に行ったのかまで、一人ではなかなか確認しに行くことはできないのが残念だったのだけれど。